金の買取価格が上がるときはいつ?過去データと今後の予想ポイント
「金の価格が過去最高値ってニュースで見たけど、一体いつまで上がるんだろう?」
「持っている金を売りたいけど、一番良いタイミングはいつ?」
「これから金に投資したいけど、価格が上がる時ってどんな時なの?」
連日のように高値更新のニュースが報じられる金価格。その輝きは、資産を守るための安全な逃避先として、今、世界中の投資家から熱い視線を集めています。あなたも、手元にある金製品の価値が気になったり、最適な売却タイミングはいつなのかと悩んだりしているのではないでしょうか。
金の価格は、気まぐれに上下しているのではありません。その背後には、世界経済の大きなうねりや、国際情勢の緊迫化、各国の金融政策といった、明確な変動要因が存在します。
この記事では、あなたが「金が上がる時」を自分自身で見極められるようになるために、分かりやすく徹底的に解説します。
金価格が上がるのはこんな時!6つの典型的なタイミング

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まず、金の価格が上昇しやすい典型的なタイミングを6つご紹介します。これらの要因が複雑に絡み合い、金価格を押し上げていきます。
タイミング1:戦争や紛争で世界情勢が不安定になるとき(有事の金)
最も分かりやすい価格上昇のタイミングが、戦争や大規模な紛争、テロなど、世界を揺るがすような「有事」が発生した時です。
株式や債券、通貨といった金融資産は、発行している国や企業の信用によって価値が担保されています。しかし、戦争などで国家の信用が揺らげば、それらの価値は暴落する危険性があります。
一方、金そのものには、発行体がありません。数千年の歴史を通じて、その輝きと希少性から価値を認められてきた「実物資産」です。そのため、人々は将来への不安が高まると、価値がゼロになるリスクのある金融資産を売り、普遍的な価値を持つ金に資産を避難させます。これが**「有事の金買い」**と呼ばれる現象であり、金の需要が急増し、価格が上昇するのです。
タイミング2:インフレで「お金の価値」が下がるとき
インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの値段が上がり、相対的に「お金の価値」が下がっていく状態のことです。例えば、昨日まで100円で買えたパンが、今日110円に値上がりした場合、同じ100円玉で買える量が減った、つまりお金の価値が下がったと言えます。
銀行にお金を預けていても、インフレ率以下の利息しかつかなければ、あなたのお金の価値は実質的に目減りしていきます。
このような状況で、資産価値を守るための投資対象として金が注目されます。金は実物資産であるため、インフレによって価値が失われることがありません。
むしろ、お金の価値が下がる局面では、相対的に金の価値が上がり、価格が上昇する傾向があります。「インフレヘッジ(インフレへの備え)」として金が買われるのです。
タイミング3:世界的な金融不安で株価が下がるとき
以前だとリーマンショックのような世界的な金融危機が発生し、株価が暴落する局面では金の価格も一緒に下落していましたが、近年では株価が下がったタイミングで金が買われるケースが増えており、株価の下落=金は買われやすくなります。
景気が良い時は、投資家はより大きなリターンを求めて、企業の成長に期待できる株式などの「リスク資産」に資金を投じます。しかし、金融システムへの不安が高まると、投資家はリスクを避け、より安全な資産へと資金を移します。
この資金の逃避先として、国や企業の破綻リスクとは無縁の金が選ばれるのです。一般的に、株価と金価格は逆相関(シーソーのような関係)になりやすいと言われています。
タイミング4:【日本の金価格に最重要】為替が「円安」に進むとき
ここまでの3つは世界の金価格(ドル建て)が上がる要因でしたが、日本に住む私たちにとって最も重要なのが為替レート、特に円安です。金の国際価格は米ドルで取引されています。
そのため、日本国内の金価格は、国際価格をその時々の為替レートで円に換算して決まります。
【例】国際的な金価格が「1gあたり80ドル」で変わらなかったとします。
- 円高の場合(1ドル = 120円): 80ドル × 120円 = 9,600円
- 円安の場合(1ドル = 150円): 80ドル × 150円 = 12,000円
このように、海外の金価格が同じでも、円安になるだけで日本の金買取価格は大幅に上昇します。
近年の日本の金価格が、海外以上に高騰している最大の理由が、この歴史的な円安です。金を売却するタイミングを考える上では、世界の金相場だけでなく、日々の為替レートの動きをチェックすることが不可欠です。
タイミング5:世界の中央銀行が金を買い増しするとき
世界各国の中央銀行(日本でいう日本銀行)は、外貨準備の一部として金を保有しています。近年、特に中国やインド、トルコといった新興国の中央銀行が、米ドルへの依存度を下げ、資産を多様化させる目的で、金の保有量を積極的に増やしています。
中央銀行による金の大量購入は、市場に金は国家レベルで信認されている安全資産であるという強いメッセージを送ります。この動きは、金の需要を構造的に下支えし、長期的な価格上昇の要因となります。
特に近年ではトランプ政権の関税政策により、各国の中央銀行が米ドル離れを起こしているというのも一つかもしれません。
特に中国の場合にはその影響が顕著に出ていると思います。
タイミング6:金融緩和で市場金利が下がるとき
金そのものは、銀行預金のように利息を生んだり、株式のように配当を出したりしません。そのため、世の中の金利の動きに大きく影響されます。
一般的に、アメリカなど主要国の金利が下がる(金融緩和)と、金利がつく金融商品(預金や債券)の魅力が低下します。すると、投資家は利息を生まないという金のデメリットをあまり気にしなくなり、金を買いやすくなります。結果として、金の価格は上昇しやすくなります。
逆に、金利が上がる(金融引き締め)と、預金や債券の魅力が高まるため、投資家は金を売ってそれらの資産に乗り換える動きが出やすくなり、金価格は下落しやすくなります。
なぜ今、金は過去最高値に?過去データで見る2020年以降の上昇

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現在の金価格が、いかに異次元の水準にあるか。それは、過去5年間の出来事を振り返るとよく分かります。まさに、先ほど解説した「金が上がるタイミング」が、立て続けに発生した期間でした。
2020-2021年:新型コロナウイルスと世界的な金融緩和
2020年初頭、新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、世界経済は深刻な打撃を受けました。この未曾有の危機に対し、各国政府や中央銀行は経済を支えるため、大規模な金融緩和(低金利政策と市場への資金供給)に踏み切りました。
世界的な経済不安と金融緩和(低金利)という、金価格にとってのダブルの追い風が吹き、金は安全資産として大きく買われました。
2022年:ロシアのウクライナ侵攻と歴史的な円安の進行
2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻を開始。地政学リスクが一気に高まり、有事の金買いが加速しました。
さらに、世界的なインフレを抑えるためにアメリカが急速な利上げを進める一方、日本は金融緩和を継続。これにより日米の金利差が拡大し、為替レートは歴史的な円安に突入しました。
この有事と円安という2つの強力な要因が重なり、特に日本の金価格は、海外の上昇ペースを大きく上回る勢いで急騰しました。
2023年-2024年:中東情勢の緊迫化と高止まりするインフレ
ウクライナ情勢が長期化する中、2023年後半には中東情勢が緊迫化し、地政学リスクはさらに高まりました。
また、世界的なインフレはなかなか収まらず、資産価値を守るためのインフレヘッジとしての金の需要も根強く続きました。
これらの要因が、高値圏にあった金価格をさらに押し上げ、史上最高値の更新が常態化する状況を生み出しました。
2025年現在、1gあたり22,000円超えは「売り時」なのか?
そして2025年10月26日現在、日本の金買取価格は1gあたり22,000円を超える、まさに前人未到の領域に達しています。過去の価格を知る人からすれば、信じられないような高値です。
では、今が絶好の売り時なのか?と問われれば、答えは歴史的な高値圏であることは間違いありません。今後のさらなる上昇要因も残っているため、慎重な見極めが必要となります。過去のデータを見れば、今は間違いなく利益を確定しやすい売り時の候補です。
しかし、次に解説する未来の予想ポイントを踏まえると、もう少し待つという選択肢も十分に考えられるのです。
今後の金相場はどうなる?2025年以降の価格を左右する3つの予想ポイント

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ここからは、未来に目を向け、今後の金価格の動向を占う上で特に重要な3つのポイントを解説します。
予想ポイント1:米国の金融政策(利下げの時期とペース)
現在、世界中の市場関係者が最も注目しているのが、アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が、いつインフレ抑制のための利上げを停止し、利下げに転じるかです。
前述の通り、金利が下がれば、利息を生まない金の魅力は相対的に高まります。市場では、2025年中に利下げが開始されるとの観測が強まっており、これが実現すれば、金価格にとって非常に強い追い風となります。
利下げの開始時期とその後のペースが、今後の金相場を占う最大の鍵となるでしょう。
予想ポイント2:世界各地の地政学リスク(米大統領選挙、中東・台湾情勢など)
残念ながら、世界から地政学リスクが消える気配はありません。
- 米国の政治動向: 2024年の大統領選挙の結果によっては、世界の安全保障や貿易の枠組みが大きく変わり、不確実性が高まる可能性があります。
- 中東・台湾情勢: 長期化する中東の緊張や、米中対立の最前線である台湾をめぐる問題は、いつ「有事」に発展してもおかしくない火種を抱えています。
これらのリスクが高まる局面では、いつでも「有事の金買い」が発生し、価格が急騰する可能性があります。
また、近年では地政学リスクが少し下がるようなニュースでも金価格があまり下がらなくなっており、下落する可能性が低いと考えられます。
予想ポイント3:各国の脱ドル化と中央銀行の金需要
米国の金融政策や地政学リスクを背景に、世界では基軸通貨である米ドルへの過度な依存から脱却しようとする脱ドル化の動きが加速しています。
特にBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなど)の中央銀行は、外貨準備におけるドルの比率を下げ、代わりに金の保有量を着実に増やしています。
この構造的な金の需要は、短期的な価格変動とは別に、金価格を長期的に下支えする強力な要因となると見られています。
専門家の見解から見る短期・中期・長期的な価格動向シナリオ
これらのポイントを踏まえると、今後のシナリオは以下のように考えられます。
- 短期(~1年): 米国の利下げ観測と継続する地政学リスクを背景に、上昇トレンドが続く可能性が高いと見る専門家が多いです。ただし、利下げ開始が市場の予想より遅れる場合などは、一時的な調整(下落)も考えられます。
- 中期(1~3年): 世界経済がソフトランディング(景気後退を伴わないインフレ収束)に成功し、市場が安定を取り戻せば、安全資産としての金の需要は一旦落ち着き、価格は横ばい、あるいは調整局面に入る可能性があります。
- 長期(5年~): 世界の脱ドル化の流れと、金の希少性(供給量が限られている)を考えれば、長期的な価値は上昇していくと見るのが基本的な見方です。
「売り時」はいつ?自分でタイミングを見極めるための3つのステップ

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専門家の予想も参考にしつつ、最終的な売買の判断は自分自身で行う必要があります。ここでは、感情的な判断で後悔しないために、具体的な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:金相場の価格チャートで大きなトレンドを把握する
まずは、金買取店のウェブサイトなどで公開されている価格チャートを見て、現在の価格がどのような位置にあるのかを客観的に把握しましょう。
- 短期チャート(1ヶ月~3ヶ月): 今が上昇の勢いがあるのか、下落に転じているのか、直近のトレンドを確認します。
- 長期チャート(1年~5年): 現在の価格が、歴史的に見て高値圏なのか、安値圏なのか、大きな流れの中での位置づけを理解します。
チャートを見ることで、「なんとなく高そう」という感覚的な判断から、「過去1年で最も高い水準にある」という事実に基づいた判断ができるようになります。
ステップ2:経済ニュースで価格変動要因(金利・為替・株価)をチェックする
次に、日々の経済ニュースで、先に解説した価格変動要因がどのように動いているかをチェックする習慣をつけましょう。
- 為替: 「円安が進行」「日銀が金融緩和を修正か」といったニュースは要チェック。
- 金利: 「米FRB、利上げ見送り」といったニュースは、金価格に直接影響します。
- 株価: 「NYダウが大幅下落」といったニュースが出ると、金が買われる可能性があります。
これらのニュースと実際の価格の動きを日々照らし合わせることで、相場の「体温」のようなものが感じられるようになってきます。
ステップ3:「〇〇円になったら売る」自分なりの売却ルールを決めておく
最も重要なのが、感情に左右されないための自分ルールを事前に決めておくことです。
価格が上がっている時は「もっと上がるかも」と欲が出てしまい、下がり始めると「あの時売っておけば…」と後悔し、冷静な判断ができなくなります。
- 価格基準ルール: 「1gあたり〇〇円になったら、持っている金の半分を売る」
- 利益率ルール: 「自分が買った時の価格から〇%上昇したら売る」
- 期間ルール: 「〇年間保有したら、その時点の価格で一度売却を検討する」
このように、自分なりの客観的なルールを決めておけば、市場の雰囲気に流されることなく、計画的に利益を確定させることができます。
また、売った後はあれこれ後悔してもしょうがないのでもし売却後に値上がりしても気にしないことが大事です。
金を売る前に知っておきたい!価格の決まり方と高く売るための注意点

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最後に、実際に金を売却する際に、損をしないための実践的な知識を解説します。
基本の計算式:「重量(g) × 純度に応じた1gあたりの相場」
金の買取価格は、【重量(g) × 純度に応じた1gあたりの買取相場】で決まります。
重ければ重いほど、純度が高ければ高いほど、そしてその日の相場が高ければ高いほど、買取価格は上がります。
同じ金でも価格が違う?純度(K24/K18など)と手数料の重要性
- 純度: 金製品には、純金である「K24」のほか、宝飾品に多い「K18」(金75%)など、様々な純度があります。純度が違えば、1gあたりの買取相場も大きく異なります。
- 手数料: 買取店によっては、ウェブサイトに掲載されている価格から「手数料」を差し引いた金額が、最終的な受取額になる場合があります。1gあたりの価格の高さだけでなく、手数料を引いた後の「手取り額」がいくらになるのかを必ず確認しましょう。
信頼できる買取業者の選び方と相見積もりのコツ
業者選びは、売却の成否を分ける非常に重要なポイントです。
- 目の前で査定: 重量をごまかされないよう、必ず目の前で計量・査定してくれる業者を選びましょう。
- 手数料の透明性: 手数料の有無や計算方法について、事前に明確に説明してくれるかを確認します。
- 相見積もり: 最も高く売るための確実な方法は、複数の業者(最低2~3社)に査定を依頼し、買取価格を比較する**「相見積もり」**です。
売却益が出たら?税金(譲渡所得)がかかるケースと計算方法
金を売却して利益(売却益)が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象になる可能性があります。
- 特別控除: 譲渡所得には年間50万円の特別控除があるため、年間の利益が50万円以下であれば、課税されないケースが多いです。
- 保有期間: 売却した金を5年以上保有していた場合、「長期譲渡所得」となり、課税対象となる譲渡所得金額を2分の1に軽減できます。
税金の計算は複雑な場合があるため、高額な売却になる場合は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
まとめ
「金が上がる時」は、世界経済の不安やインフレ、円安といった様々な要因が複雑に絡み合って生まれます。その仕組みを理解すれば、日々のニュースの見方も変わり、金価格の変動に一喜一憂することなく、冷静に次の手を考えられるようになります。
- 金が上がるのは「有事」「インフレ」「金融不安」「円安」「中央銀行の買い」「低金利」の時。
- 現在は、これらの要因が重なった歴史的な高値圏にある。
- 今後の鍵は「米国の利下げ」「地政学リスク」「脱ドル化」の3つ。
- 売り時は、チャートやニュースを参考にしつつ、自分なりの「売却ルール」に従うのが最善。
- 売却時は、手数料を確認し、複数の業者で相見積もりを取ることが鉄則。
未来の価格を完璧に予測することは誰にもできません。
しかし、正しい知識を身につけ、自分なりの判断軸を持つことで、後悔のない、賢明な資産運用が可能になります。この記事が、あなたの大切な資産を守り、育てるための一助となれば幸いです。
執筆者プロフィール

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店長 河本 明
買取業界歴15年以上。
買取の得意分野:ブランド品、ジュエリー、時計
ジュエリーコーディネーター ウォッチコーディネーターの資格を保有しております。
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