プロパー融資とは? 保証付き融資との違いとメリット・デメリットを解説
プロパー融資は、銀行が独自の基準でおこなう無保証の融資です。他の融資と異なり、保証料がかからず、低金利で利用できるのが特徴です。
この記事では、プロパー融資と保証付き融資の違いや、メリット・デメリットについて詳しく解説します。また、プロパー融資を受けるためのポイントやよくある質問についてもまとめましたので、融資を検討中の方はぜひ参考にしてください。
プロパー融資と保証付き融資はどう違う?

同じ融資でも、プロパー融資と保証付き融資には違いがあります。以下に相違点をまとめました。
比較項目 | プロパー融資 | 保証付き融資 |
担保・保証人 | 必要 | 不要なケースがある |
金利 | 低め | プロパー融資より高め (保証料の上乗せがある) |
保証料 | 不要 | 必要 |
返済期間 | 短め | 5~10年の長期返済が可能 |
融資の対象 | 銀行独自の基準により決められる | 「企業規模」「業種」「区域・業歴」の基準を満たした企業 |
審査の難易度・基準 | 厳しい | 比較的ゆるやか |
プロパー融資は、保証付き融資と比べて利用者が限定される融資です。利用を検討したいと思ったら、自分が条件に合致するか、銀行に問い合わせてみると良いでしょう。
プロパー融資のメリット

プロパー融資のメリットは5つあります。
- 融資額が高い
- 信用度が上がる
- 審査期間が短い
- 低金利で利用できる
- 保証料がかかからない
1つずつ見ていきましょう。
融資額が高い
プロパー融資は、融資額の上限が柔軟であるため、多額の融資につながる点がメリットです。保証付き融資に見られる上限枠に縛られず、企業や事業者の信用力や事業計画に応じて、柔軟に融資額が設定されます。
金融機関によって融資額の枠が決まってはいますが、申込者の経営状況などから数百億の融資も可能なケースがあります。大きなプロジェクトを進めたいときや新しいビジネスに挑戦するときなど、プロパー融資の柔軟性が大きな力となってくれるでしょう。
信用度が上がる
プロパー融資を受けられる企業や事業者は、金融機関から高い信用を得ていると評価されます。保証機関を介さず、銀行が自らの判断で貸し出すため、審査を通過するだけでも信頼性の高さを認められるのです。
プロパー融資で証明される信用度は、取引先や他の金融機関からの評価にもつながります。資金調達やビジネスでの交渉を有利に進める後押しになるでしょう。信用度の高さは、企業や事業者の社会的評価や、事業の広がりにも良い影響を与えます。
審査期間が短い
プロパー融資は保証協会の審査がないぶん、審査期間が短いのが特徴です。2〜3週間ほどで結果が出るケースが多く、資金調達を急ぐときも比較的対応しやすいでしょう。
ビジネスの場ではスピーディーな意思決定が求められる場面もあります。プロパー融資であればタイムロスを抑えつつ資金を確保でき、ビジネスチャンスを逃さずに済みます。資金をできるだけ早く調達したい事業者にとって、プロパー融資は有用な選択肢といえるでしょう。
低金利で利用できる
プロパー融資は、信用保証付き融資と比べて金利が低く設定されやすいのがメリットです。銀行が自社の判断で貸し出すため、信用力が高い事業者ほど低い金利設定ができます。
また、保証機関を介さない分、金利交渉の余地が広い利点もあります。事業内容や経営実績に応じた柔軟な対応が受けられるのもプロパー融資の魅力です。こうした金利面での優位性は、長期にわたる返済負担の軽減や、資金繰りの安定にもつながります。
保証料がかかからない
プロパー融資は、保証料がかからないのもメリットの1つです。信用保証協会を利用しない、銀行独自の融資であるため、保証料は求められません。
保証付き融資では、借入金額や返済期間に応じて保証料(例:年0.45%〜1.9%)が発生するため、返済負担が増します。しかし、プロパー融資においては元本と金利のみを返済コストとして考えればよく、返済総額を抑えられます。
なお、創業直後の企業や個人事業主は、信用力が不十分とみなされてプロパー融資を受けられない可能性がある点に留意しましょう。
プロパー融資のデメリット

次に、プロパー融資のデメリットも見ていきましょう。
- 審査が厳しい
- 返済期間が短い
- 信用力が低いと利用できない
詳しく解説していきます。
審査が厳しい
プロパー融資は、金融機関が全責任を負うため、審査基準が非常に厳しく設定されています。貸し倒れリスクを最小限に抑えるため、審査の際は以下の点が重視されます。
- 黒字経営が続いているか
- 資金繰りは安定しているか
- 企業・事業者の信頼性が高いか
銀行との長い取引経験がある企業や事業者ほど、審査を通過しやすい傾向があります。準備不足では審査に通りにくいため、事前の対策が不可欠です。
返済期間が短い
プロパー融資は、銀行が長期的なリスクを避けるため、返済期間が短く設定される場合が多いです。そのため、融資を受けた側は毎月の返済額が高額になります。
返済額が大きくなれば、資金繰りを圧迫し、キャッシュフローに影響を及ぼす可能性もあります。返済期間が短くなれば完済が早くなるものの、毎月の資金繰りには計画性と確実性の高さが必要です。プロパー融資を受ける際は、収支状況をあらかじめ洗い出し、綿密な返済計画を立てておかなければなりません。
信用力が低いと利用できない
銀行が全額リスクを負うプロパー融資は、信用力や事業実績が重視されます。そのため、創業間もない事業者や、赤字が続いている企業や事業者にはハードルが高いでしょう。
審査では、融資返済の履歴、財務内容、事業計画の実現可能性などが評価されます。これらが十分でない場合は、まずは信用保証付き融資を活用すると良いでしょう。
保証付き融資で確実に返済を重ねると、銀行に「この事業者は信頼できる」と評価されます。保証付き融資での取引実績を積めば、プロパー融資への移行も現実的なものになるのです。
プロパー融資を受けるための3つのポイント

プロパー融資を受ける際に押さえたいポイントを3つ紹介します。
- 返済能力を裏付ける資料を用意する
- 資金の用途を説明できるようにする
- 日頃から銀行と良好な関係を築いておく
1つずつ解説していきます。
返済能力を裏付ける資料を用意する
プロパー融資は、銀行が保証協会を介さずに融資を提供するため、企業の返済能力が厳しく審査されます。そのため、事前にしっかりと資料を準備しておくことが重要です。
主な準備資料の例は以下のとおりです。
書類 | 説明 |
財務諸表※貸借対照表・損益計算書など | 事業の運営状況や収支バランスを確認するために必須 |
キャッシュフロー計算書 | 資金の流れを明確にし、実際の返済能力を示す材料 |
事業計画書※売上予測・利益計画など | 将来の成長性や収益見込みを銀行に伝える資料 |
これらの資料を整えれば、事業の健全性や返済能力を具体的にアピールできます。
資金の用途を説明できるようにする
プロパー融資の審査では、資金の用途を銀行にわかりやすく説明しなければなりません。
【用途の例】
- 新店舗・新事務所の開設費用
- 店舗・事務所の内装・改装費
- 業務用パソコンやソフトウェアの導入
加えて、融資金の利用で期待される効果や、回収の見込みについても説明できると、計画性のある企業としての信頼を得やすいでしょう。数字と根拠を持って話せるよう準備しておくと安心です。
日頃から銀行と良好な関係を築いておく
プロパー融資を受ける際は、普段から銀行との関係性も大切です。
担当者に経営状況や資金の見通しを定期的に伝えると「この事業者は誠実で計画的だ」と感じてもらえます。
また、預金口座を一つの銀行に集約したり、売上の入金口座として指定したりするのも、信頼の構築に有効です。銀行側は資金の流れを把握しやすくなるため、審査の際にも有利に働きます。
こうした地道な関係性の積み重ねが、いざというときの信用力の土台になります。
プロパー融資でよくある質問
ここでは、プロパー融資に関する質問について回答します。
プロパー融資に向いている人は?
プロパー融資は、財務が安定し、信頼性の高い企業・事業者に適しています。継続して黒字経営を維持していたり、自己資本比率が高く、キャッシュフローが安定していたりする企業や事業者向きです。
また、明確な事業計画と銀行との関係性も判断材料となります。
プロパー融資は個人も利用できる?
プロパー融資は基本的に法人向けの手段ですが、個人事業主でも条件を満たせば利用できる可能性があります。
ポイントは次のとおりです。
- 事業としての実績がある
- 具体性のある事業計画書が提出できる
- 銀行との取引実績や信頼関係が築けている
- 担保の提供や、財務面での信用力を示せる
こうした条件を満たせば、銀行によっては個人でも審査の対象になるケースがあります。
ただし、一般的には法人のほうが優遇されやすく、個人での申し込みはハードルが高い傾向です。
まずは、保証付き融資を利用し、信用度を高めていくと良いでしょう。
プロパー融資が利用できない場合の対処法は?
プロパー融資を受けられなかった場合でも、資金調達の道は他にもあります。
まずは、信用保証協会を通じた保証付き融資を検討してみましょう。信用保証協会が返済の保証をしてくれるため、銀行側のリスクが抑えられ、融資が承認される可能性が高まります。
そのほか、インターネットを通じて資金を集めるクラウドファンディングや、企業の将来性に投資するエンジェル投資家から支援を受ける方法もあります。事業計画を見直し、資金繰りを改善して、将来プロパー融資に再チャレンジしても良いでしょう。
早急に現金が必要な場合は、質入れや買取といった方法で一時的に資金を確保する方法も検討してみましょう。審査がなく、信用度が低い人でも利用可能です。所有している品物を担保にしたり売却したりして、つなぎの資金を調達できます。
まとめ
プロパー融資は、信用保証協会を介さずに銀行が直接リスクを負う、言わば「銀行による自前の融資」です。融資を受ける企業や事業者にとっては、銀行からの信頼を得ている証といえるでしょう。
審査は厳しいですが、低金利や保証料不要といったメリットがあり、柔軟な条件での借入が可能です。利用にあたっては、財務の健全性や明確な事業計画、銀行との信頼関係が欠かせません。
将来的に多額の融資を受けたい場合は、保証付き融資などで実績を積み、プロパー融資を受けられるような信用度の高い運営を続けるのが現実的です。長期的な視点で準備を進め、事業の成長に有効な手段として、戦略的に活用していきましょう。
「少額でいいからすぐ資金を調達したい」という人には、質屋や買取店の利用もおすすめです。
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当店では、質預かり・買取いずれも対応可能です。LINEもしくはお問い合わせフォームより、いつでもご連絡ください。
執筆者プロフィール

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店長 河本 明
買取業界歴15年以上。
買取の得意分野:ブランド品、ジュエリー、時計
ジュエリーコーディネーター ウォッチコーディネーターの資格を保有しております。
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