中小企業が借り入れで失敗しないためにチェックすべきポイントを解説

中小企業の借り入れとは

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ここでは、借り入れの目的や他の資金調達方法との違い、失敗の背景について解説します。

運転資金や設備投資のために利用する

中小企業が借り入れをする大きな理由として、運転資金と設備投資の確保があります。運転資金とは、日常的な経費や人件費など、事業を安定して継続するために必要な資金です。一方、設備投資は、新店舗の開設や機械の導入、新製品の開発など、企業の成長に向けた投資を指します。

たとえば、売上の入金前に仕入れや給与の支払いが発生するケースです。入金よりも支払いが先に来るため、借り入れが必要になる場合があります。また、借り入れによって新たな設備を導入すれば、生産性が向上し売上拡大につながります。借り入れは中小企業の基盤を支え、未来を切り開く手段といえるでしょう。

補助金や出資との違い

資金調達にはさまざまな方法がありますが、借り入れは補助金や出資とは性質が大きく異なります。

借り入れには返済義務と利息が伴いますが、資金の使い道に自由度がある点がメリットです。一方、補助金は返済不要である代わりに、事業内容や用途に条件が設定されるケースが多く、実績報告の義務も課される場合があります。出資は、第三者が株式を引き受けて 資金を提供する方法です。返済義務はないものの、株主の発言が経営に関わる場面もみられます。

中小企業が借り入れで失敗する理由

中小企業が借り入れに失敗する理由は複数あります。中でも大きいのは、返済計画の甘さや資金使途の不明確さです。たとえば、月々の返済額を正確に割り出さないまま借り入れると、徐々に資金繰りが難しくなります。事業の継続も危うくなるでしょう。

また、何に使うのかを明確にしないままでは、投資効果を測れず、無駄遣いにつながる可能性もあります。さらに、金利の上昇や経済環境の変化など、外部要因への備えが失敗を招くケースも少なくありません。

借り入れに失敗しないためのチェックポイント

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借り入れは中小企業の経営を支える手段ですが、失敗すると事業に影響を及ぼします。ここでは、借入前に確認すべきチェックポイントを解説していきます。

  • 借入目的は明確か
  • 必要な金額は妥当か
  • 返済計画は現実的か
  • 自社の信用情報に不安はないか
  • 万一に備えたリスク対応ができているか

借り入れを検討する前に、上記のチェックポイントについて条件を満たしているか考えてみましょう。

借入目的は明確か

借り入れを検討する際は、資金の使い道をはっきりさせるのが基本です。何にいくら使うかを決めないまま資金を借りると、返済額や返済期間の見積もりも曖昧になり、非現実的な返済計画となってしまいます。

「新規事業の立ち上げ」「設備の更新」「一時的な資金繰り」など、目的ごとに必要額を見積もり、資金配分しておくとよいでしょう。

使い道が明確であれば、無駄な支出を避けられ、費用対効果の測定もしやすいです。さらに、金融機関に対しても合理的な説明ができるため、審査の通過率を高める結果にもなります。

必要な金額は妥当か

借入金額の設定が大きいと返済する際の負担が重く、逆に少な過ぎると資金不足で計画が頓挫する恐れがあります。必要な金額が妥当かどうかを見極めるためには、事業計画に基づいた資金の見積もりが欠かせません。

売上見込み、必要経費、緊急時の備えなどを考慮し、現実的な金額を算出しましょう。金融機関に「なぜこの金額が必要か」を説明できると好印象です。

返済計画は現実的か

次に返済計画が実現可能であるかもチェックしましょう。どれだけ借り入れの目的や金額が適切でも、返済計画が非現実的では意味がありません。無理な返済スケジュールは、事業運営を圧迫し、経営悪化の原因になります。

返済計画を立てる際には、月々のキャッシュフローや利益率、売上変動のリスクなどを考慮しなければなりません。また、金利や返済期間によって総返済額は大きく変わります。金融機関と相談しながら、自社の資金状況に見合った返済計画を立てていきましょう。

自社の信用情報に不安はないか

信用情報は、金融機関が融資の可否を判断するうえで重視される項目です。過去に返済遅延や債務整理の履歴がある場合は、審査に通りにくい可能性があります。

借り入れの申請前に、自社の信用情報を確認しておきましょう。信用情報機関から開示請求すれば、自社の信用スコアや返済履歴を確認できます。財務諸表や税務申告の内容も審査に影響するため、チェックするのがおすすめです。

過去にトラブルがあった場合は、改善に向けた取り組みや現在の健全な経営状況をデータとともに説明し、事業の透明性を高めるよう努めましょう。

万一に備えたリスク対応ができているか

借り入れには、売上が思うように伸びなかったり、急な出費が発生したりと、予測不能なリスクがつきものです。安定した資金運用には、返済に影響する事態への備えが欠かせません。

まずは、返済が難しくなるケースをシミュレーションしておきましょう。突発的な資金不足にも落ち着いて対処できます。

また、いざという時に備えたリスク分散策として、以下のような対策も有効です。

【リスク分散の例】

  • 金融機関とコミュニケーションをとり融資相談しやすい関係を築く
  • 売掛金の回収遅延リスクに備えて、「取引信用保険」の活用を検討する
  • 緊急用の資金として、あらかじめ一定額を内部留保または別口座で確保しておく

こうした準備ができれば、金融機関からも「リスク管理ができている企業」として評価され、借り入れ前の審査や面談でも良い印象を与えるでしょう。

中小企業が融資を受けられる機関とは

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ここでは、中小企業が利用可能な融資を提供する機関について解説します。

【中小企業が融資を受けられる機関】

  • 地方自治体
  • 民間金融機関
  • 政府系金融機関

1つずつ見ていきましょう。

地方自治体

地方自治体が提供する融資保証制度は、地域経済の活性化と中小企業の支援を目的とする制度です。地元企業への利子補給や保証料の一部負担などの優遇措置が設けられており、経営負担の軽減につなげています。

ここで、岡山県における中小企業向け融資制度の一例を見てみましょう。

制度名対象者
新規創業資金新たに事業を開始予定の人や新会社を立ち上げる中小企業の経営者など
小規模企業支援資金(一般)従業員20人以下の小規模企業者およびその組合が利用できる融資制度
経営安定資金経常損失を計上し経営が不安定な事業者や、認定支援機関の支援で経営改善に取り組む事業者など
経済変動対策資金景気変動や原材料価格高騰等で業績が悪化し経営が不安定な中小企業・個人など
危機対策資金大規模災害や金融危機で経営に支障が生じた場合や、災害に備えてBCP策定・防災設備投資をおこなう中小企業など

制度は自治体ごとに内容が異なります。自社が所在する地域の商工会議所や自治体のホームページから最新情報をチェックしておきましょう。

民間金融機関

民間金融機関による融資は、迅速な審査と柔軟な対応が魅力です。銀行や信用金庫などが提供するローン商品は多種多様で、企業の規模や業種、用途に応じた商品を選べます。

一定の信用力がある企業であれば、審査に時間がかからずスピーディーに融資金を受け取れます。また、企業との関係性が築けていれば、返済条件の相談や追加融資の提案を受けるなど、柔軟に対応が期待できるでしょう。

日常的に金融機関との関係性を深め、融資へのハードルを下げておくのがおすすめです。

政府系金融機関

政府系金融機関は、政策的な目的で中小企業を支援する融資制度を提供しています。代表的な機関は「日本政策金融公庫」や「商工中金」などです。

創業支援・事業承継・災害時の緊急融資など、特定の状況に対応した制度を数多く備えています。主な特徴としてあげられるのは以下のとおりです。

  • 低金利
  • 保証人不要
  • 長期の返済期間

政府系金融機関の制度は、経営の安定だけでなく、長期的な成長戦略を描くうえでも心強い味方です。

自社に合った融資制度の選び方

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複数ある融資の中から、適切なものを選ぶのは少し難しく感じるかもしれません。以下のポイントを押さえ、自社に合う融資制度で借り入れを進めていきましょう。

  • 相談窓口を活用する
  • 複数の融資制度を比較する
  • 自社の経営状況と照らし合わせて選ぶ
  • 商工会・専門家に相談して選択肢を広げる

順番に解説していきます。

相談窓口を活用する

融資制度に関する情報収集は、金融機関の相談窓口を活用するのがおすすめです。中小企業支援センター、商工会議所、日本政策金融公庫、地方自治体などで、無料相談が可能です。

「創業支援を受けたいが、どの制度が合うかわからない」という場合でも、相談窓口で事業内容やニーズを伝えれば、複数の制度から最適なものを提案してもらえます。

相談にあたっては、事業計画書や直近の決算資料を持参すれば、より具体的なアドバイスが受けられます。自社に最適な融資制度を選び、スムーズな資金調達につなげていきましょう。

複数の融資制度を比較する

融資制度は一つだけを見て決めるのではなく、複数を比較しましょう。制度ごとに金利や返済期間、担保の要否などが異なるため、自社の状況と照らし合わせて総合的に判断する必要があります。

たとえば、急ぎで資金が必要であれば、審査が早い民間金融機関が適しているケースが多いです。一方、長期的かつ多額の資金を借り入れたいときは、低金利で返済期間が長い政府系金融機関のほうが利用しやすいでしょう。

融資制度はそれぞれ対象となる企業・人が異なります。より自社にマッチした融資を受けるためにも、融資制度の比較検討がおすすめです。

自社の経営状況と照らし合わせて選ぶ

自社の経営状況と照らし合わせる視点も大切です。いくら条件の良い制度でも、現在の収支状況や企業の成長フェーズに合っていなければ、かえって負担が増す可能性もあります。

経営状態を見極めるには、キャッシュフロー、自己資本比率、借入金比率などの指標を確認します。借り入れ候補の融資を利用した場合、余裕のある返済計画が立てられるか検討してみましょう。

融資制度選びは「自社の状況に合うか」を軸に進めるのが基本です。

商工会・専門家に相談して選択肢を広げる

融資選びをする際は、商工会や中小企業診断士、税理士などの助言も仰ぎましょう。専門家は融資の審査ポイントや制度の裏側にも精通しているため、客観的な視点でアドバイスしてくれます。

相談する前に、自社の状況や借り入れの目的、希望する借入額などを整理しておくと、より具体的なアドバイスを得られます。専門家との連携により融資の選択肢が広がり、失敗のリスクも軽減されるでしょう。

借り入れを成功に導く3つのコツ

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借り入れを成功させるコツは以下のとおりです。

  • 融資先との信頼関係を築く
  • 必要書類と情報を事前に準備する
  • 資金をどう使うか説明できるようにしておく

1つずつ見ていきましょう。

融資先との信頼関係を築く

融資の成否には、金融機関との信頼関係が影響します。単に資金を借りる相手ではなく、長期的な経営パートナーと捉えて関係を築くことが大切です。

信頼を得るためには以下の点を実践しましょう。

  • 事業の透明性を保つ
  • 定期的に相談や実績報告をする
  • 現在の経営状況や今後の事業展開を共有する
  • 決算書や資金繰り表などの財務資料を日ごろから整える

信頼される企業は、金融機関にとっても支援しやすい存在といえます。融資を受けるにふさわしい企業として認められるよう、クリーンな事業運営を心掛けましょう。

間違っても借りたお金を借入時の使途以外に使用しないようにしましょう。

これは金融機関に対する裏切り行為扱いになりますので、その後の取引にかなり影響を及ぼします。

創業時には日本政策金融公庫を利用し、開業して1年ぐらいたって実績が付いたら地元の信用金庫に保証協会付の融資でお金を借りるのが一般的なステップアップでしょう。

そのあとは信用金庫とのつながりがなくならないように、返済が半分ぐらい進ん段階で再度借入するなどして取引が途切れないようにするのがポイントです。

金融機関の担当者も人間なので接触回数が多い経営者や約束をきちんと守る経営者に対して融通を聞かせてくれることもあるでしょう。

必要書類と情報を事前に準備する

融資の審査では、事業の現状と将来性を示すための書類が必要です。書類をあらかじめ準備しておくと手続きがスムーズに進み、審査に通る可能性も高まります。

主な書類は以下のとおりです。

  • 直近の決算書
  • 税務申告書
  • 試算表
  • 事業計画書

書類に関しては、内容の整合性や数字の一貫性も重視されます。会計ソフトや専門家のサポートを活用し、正確な情報を記載しましょう。事前準備を丁寧にするほど、金融機関からの信頼が強まります。

資金をどう使うか説明できるようにしておく

融資審査の面談では「資金を何に使うのか」を説明する必要があります。用途が不明確なままだと、金融機関から「返済の見込みが立たない」と判断されるかも知れません。

「設備投資に使い、生産能力を30%向上させる」「新店舗の出店により、月商を100万円増やす」など、資金の活用目的と期待される成果を具体的に説明できるように準備しましょう。具体的な目標を、数字を交えて盛り込むと説得力が増します。

資金用途の説明は、事業に対する本気度と計画性を伝えるプレゼンテーションです。借入額と用途の妥当性をわかりやすく伝えられるよう、前もって準備しておきましょう。

まとめ

中小企業にとって、借り入れは単なる資金調達ではなく、事業の成長と経営の安定を支える手段です。

借り入れにはリスクも伴いますが、事前の準備と正しい選択でリスクを軽減できます。多様な融資制度や金融機関を活用し、必要に応じて専門家のアドバイスを受ければ、堅実な判断ができるでしょう。

資金を「借りる」ではなく「活かす」と考えて、持続可能な経営につなげていきましょう。

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執筆者プロフィール

店長 河本 明
店長 河本 明
店長 河本 明
買取業界歴15年以上。
買取の得意分野:ブランド品、ジュエリー、時計
ジュエリーコーディネーター ウォッチコーディネーターの資格を保有しております。