ビジネスローンとは? 仕組みと注意点をやさしく解説
ビジネスローンは、事業資金を調達する方法のひとつです。ビジネスに関わる用途に限定したローンを指します。
この記事では、ビジネスローンの基本的な仕組みやメリット、利用する際の注意点についてわかりやすく解説しています。ビジネスローン以外の他の資金調達法についてもまとめましたので、健全に事業を運営するための資金調達に、ぜひお役立てください。
ビジネスローンの概要

ビジネスローンは、法人や個人事業主が利用できる事業資金専用のローンです。運転資金や設備投資など、幅広い用途に利用できます。金融機関によって条件が異なり、無担保・保証人不要のケースもあります。
事業資金に特化したローン
ビジネスローンは、以下のような目的で利用されています。
【ビジネスローンの主な用途】
- 人件費
- 広告費
- 設備投資
- 仕入れ資金
消費者向けのカードローンとは異なり、使い道が「事業目的に限られている」点が特徴です。
金融機関によっては、用途を伝えなければならないケースもあります。しかし、多くの場合である程度の自由度が確保されており、事業運営に柔軟に活かせるローンです。
対象者
ビジネスローンを利用できるのは、中小企業の経営者や個人事業主など、事業を営んでいる人です。副業レベルでも、確定申告をしていれば申請可能な場合もあります。
法人か個人かによって必要書類や審査の基準が異なりますが、審査では事業の規模や経営状況、借入金の使途などが重視されます。
開業後の年数や黒字経営の実績が問われる可能性もあるため、申し込み前に要件を確認しておくと安心です。
ビジネスローンを申し込める機関

ビジネスローンはさまざまな金融機関で取り扱われています。それぞれに審査基準や融資条件が異なるため、事業の状況や希望に応じて選択しましょう。
銀行
銀行のビジネスローンは、比較的低金利で借りられます。ただし、審査は厳しく、融資までに時間がかかる傾向です。
事業計画書や決算書などの提出書類が多く、事業の実績や安定性も審査で重視されています。
銀行の場合、融資金額が大きく、長期の資金調達にも適したビジネスローンを提供しているのが特徴です。堅実に事業を運営する企業であれば、有利な条件での借入が期待できるでしょう。
信販会社
信販会社のビジネスローンは、銀行よりも審査基準がゆるめです。事業の実績が浅い個人事業主や中小企業でも、利用しやすい傾向があります。
融資までのスピードも早く、早く資金を確保したい場合に最適です。
ただし、金利はやや高めに設定されており、長期の借入には向かない側面があります。
消費者金融
消費者金融のビジネスローンは、即日融資に対応している商品が多く、資金繰りに困っている事業者の強い味方です。無担保・無保証で借りられるため、個人事業主にとっても利用しやすいメリットがあります。
金利は比較的高めで、返済の負担が大きくなる点に注意が必要です。
「短期間の運転資金を借りたい」など、明確な用途と返済計画があるときに限り、慎重に利用しましょう。
ビジネスローンの利用手順

ビジネスローンは、申込から融資までの流れが比較的シンプルでスピーディーです。ただし、事前準備や書類の不備があるとスムーズに進まないことも。ここでは、一般的な申し込みから融資実行までの手順を3ステップで紹介します。
必要書類をそろえて申し込む
ビジネスローンを利用するには、まず必要書類をそろえましょう。
法人であれば登記簿謄本や決算書、事業計画書、個人事業主であれば確定申告書の写しなどが必要です。身分証や印鑑証明なども求められる場合があります。
書類を不備なくそろえれば、再提出の手間がなく審査がスムーズに進み、融資までの期間を短くできます。
申し込みはWeb上で完結できる場合もあり、店舗に行く時間をカットできるのもメリットです。
審査を受ける
ビジネスローンの審査では、以下の点がチェックされます。
- 返済能力
- 事業の安定性
- 収支バランス
- 申込者の信用情報
赤字決算が続いていたり、過去に返済の遅延があったりする場合は、審査に時間がかかり、融資が難しくなる可能性があります。
信用情報に問題がなく、必要書類が整っていれば、ビジネスローンの提供元によっては即日審査も可能です。
契約し融資金を受け取る
審査に通過して融資の承認が下りたら、契約手続きに進みます。契約内容をあらためて確認したうえで、書類への署名・捺印をおこない、契約成立です。
Web上での契約や電子署名に対応している金融機関も多く、スピーディーに手続きできるケースも少なくありません。
契約完了後、指定した口座に融資金が振り込まれます。早ければ即日、遅くとも数営業日以内の受け取りが可能です。
ビジネスローンのメリット

ビジネスローンのメリットは以下の4つです。
【ビジネスローンのメリット】
- 使い道が多様
- 総量規制の対象外
- 融資スピードが早い
- 無担保・無保証で使える可能性がある
1つずつ解説していきます。
使い道が多様
ビジネスローンは、事業資金としての利用であれば、その用途が幅広く認められています。
開業資金 | 新規事業の立ち上げや開業に必要な費用設備投資備品購入費テナント料 など |
運転資金 | 事業運営に必要な費用人件費光熱費仕入れ費広告宣伝費 など |
設備投資 | 既存事業の成長や効率化を目的とする設備の購入費 |
納税資金 | 事業に関わる税金の資金所得税法人税消費税 など |
つなぎ資金 | 銀行融資などの資金調達が間に合わない期間や、売掛金を回収するまでの期間をつなぐための資金 |
買掛金の支払い | 事業に必要な商品やサービスの後払い金を補填するための資金 |
ビジネスローンは使い道が限定されないケースが多く、急な支出にも柔軟に対応できます。計画的に使えば、事業の成長スピードを早める資金源となるでしょう。
総量規制の対象外
ビジネスローンは、貸金業法における「総量規制」の対象外となります。
総量規制とは、年収の3分の1を超える借り入れができないというルールですが、これは個人の借入に対する規制です。
ビジネスローンは事業目的であるため総量規制が適用されず、必要に応じてまとまった資金を調達できます。ただし、返済能力に見合った借入が前提です。
融資スピードが早い
ビジネスローンは、スピーディーな対応もメリットのひとつです。金融機関によっては、申し込みから最短即日の融資もできます。
Webでの申し込みや契約に対応したビジネスローンであれば、審査から契約、振込までの時間の短縮が可能です。資金繰りに急ぎたい事業者にとっては心強いサービスといえるでしょう。
無担保・無保証で使える可能性がある
ビジネスローンの多くは、担保や保証人なしで申し込めるメリットもあります。担保にできる不動産がなかったり、保証人のあてが少なかったりする事業者には利用しやすい制度といえるでしょう。
ただし、無担保・無保証型の場合、金利は高めに設定されるのが一般的です。申込者の信用情報や収入状況によっては、担保や保証を求められるケースもあります。担保や保証人を立てられない人は、ビジネスローンの利用条件をあらかじめ確認しておきましょう。
ビジネスローンを利用するときの注意点

ビジネスローンを利用したい場合は、以下の点に注意しましょう。
- 金利と利用限度額
- 融資までのスピード
- 返済方法と返済期間
- 担保と保証人の必要性
さまざまな金融機関があるため、ビジネスローンを考える際は複数の機関を比較してみるのがおすすめです。
金利と利用限度額
ビジネスローンを選ぶ際には、金利と利用限度額のチェックが必要です。金利が高いと毎月の返済額が高くなり、資金繰りを圧迫しかねません。
金利3%で300万円を借りたとすると、年間の利息は9万円です。15%であれば36万円と、利息だけでかなりの差額が生じます。機関によって金利は異なります。必ず確認しておきましょう。
また、利用限度額を確認しなければ「希望額に届かず必要な資金を調達できない」という事態にもなりかねません。
たとえば、開業費用として500万円を予定していたのに限度額が300万円だった場合、不足分を別の手段で補う必要があります。このために開業が遅れたり、事業の規模を縮小したりするリスクもあるのです。
返済の負担を減らし、スムーズな事業展開を叶えるためにも、金利と利用限度額を把握しておきましょう。
融資までのスピード
申込から融資実行までの早さも重要です。融資までのスピードを事前に確認しておかないと、「必要なときにお金が間に合わない」という事態にもなりかねません。
たとえば、即日融資に対応している消費者金融系のビジネスローンであれば、申し込んだその日に融資金を受け取れる可能性があります。一方、銀行系のビジネスローンは審査に1週間〜2週間かかることが多く、さらに契約手続きも時間がかかるケースもみられます。
タイムラグがあると、必要なときに資金調達ができず、事業に影響するかもしれません。申込から融資までの日数は、担当者にしっかり確認するのをおすすめします。
返済方法と返済期間
ビジネスローンの返済方式には「元利均等返済」や「元金一括返済」などがあり、返済期間も商品によって異なります。事業の収支に見合った返済プランを立てれば、資金繰りを安定させやすいです。
短期間で完済できるローンは金利の負担が少ないものの、月々の返済額は大きくなります。反対に、返済期間が長ければ月々の返済額は下がりますが、金利がかさむ分、トータルの支払い額は増えます。
自社の収支状況や、今後の事業計画を踏まえて返済期間と返済方式を選べば、キャッシュフローの安定につながるでしょう。
担保と保証人の必要性
ビジネスローンは、無担保・無保証で利用できるものもありますが、商品によっては不動産や保証人が必要となります。高額の融資を希望したり、銀行からの融資を受けたりする場合です。自社が保有する不動産を担保にしたり、代表者以外の第三者を保証人として立てたりします。
保証人を立てられない場合は、法人代表者が個人として連帯保証をおこなう契約になる可能性があります。債務不履行となると、資産が差し押さえられるリスクもあるため注意が必要です。
資金調達に使える別の方法とは

ビジネスローン以外にも、以下の方法で事業資金を調達できます。
- 銀行融資
- カードローン
- キャッシング
- ファクタリング
- クラウドファンディング
順番に見ていきましょう。
銀行融資
銀行融資は、低金利かつ返済期間が長めに設定できるため、安定した資金調達手段として多くの企業に利用されています。中でも「信用保証協会付き融資」は、創業間もない企業や中小企業でも利用しやすい制度です。ただし、銀行の融資は審査に時間がかかり、書類提出も煩雑です。もし急ぎで融資が必要であれば、他の手段も検討した方が良いでしょう。
カードローン
カードローンは、事業用ではなく個人名義での借入となり、個人事業主や経営者が一時的な資金調達に活用しています。コンビニのATMなどで簡単に借りられるうえ、審査も比較的やさしいため、少額をすぐに借りたいときに便利です。
ただし、事業のためには使えないカードローンもあります。また、金利は高めで返済額が増えるため、借り過ぎには注意が必要です。
キャッシング
キャッシングとは、クレジットカードの「現金を借りられる枠」を使う方法です。銀行やコンビニのATMで、すぐにお金を引き出せるため、カードローンと同じく、すぐに資金が必要なときに役立ちます。
ただし、利用できる額が限られており、金利は15〜18%程度と高めの設定です。キャッシングを利用する場合は、事前に利用額を決めておき、返済の計画を立てておかなければなりません。
ファクタリング
ファクタリングとは、取引先からまだ受け取っていない売上(売掛金)を現金に変える方法です。
たとえば「来月100万円が入る予定だけど、今すぐ50万円が必要」といったときに、ファクタリング会社がその売上100万円を買い取ってくれる仕組みです。
審査でチェックされるのは、自社ではなく「売掛先の会社の信用度」です。そのため、自社の信用情報に不安があっても融資の承認は下りやすいといえます。
即日で融資金が入るケースもありますが、手数料は8〜18%とやや高めです。あくまで、今すぐお金が必要なときの手段として考えるのがよいでしょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの人から少しずつお金を集める方法です。「新しい商品を作りたい」「地域を元気にするイベントを開きたい」といった思いやビジョンがあるプロジェクトに向いています。
資金を集めるだけでなく、商品やサービスの宣伝にもなる点がメリットです。ただし、共感してもらうための文章づくりや、SNSでの発信が欠かせません。準備には時間がかかるため、すぐにお金が必要な場合には不向きです。
【低リスク】質預かりと買取サービス

「できればリスクを避けて資金を調達したい」と考えている人には「質預かり」や「買取サービス」といった方法もあります。いずれも所有している品物を現金化する仕組みです。質預かりは品物を担保にお金を借りる方法で、返済すれば品物は戻ります。一方、買取サービスは品物を売却して現金を受け取るため、返済の必要はありません。急な支出に対応できる方法で、特に小口の調達に向いています。
質預かりと買取サービスの利用手順は以下のとおりです。
流れ | 質預かり | 買取サービス |
査定 | 店舗に品物を持参し、その場で査定を受ける | |
査定額の確認 | 査定額に納得すれば契約手続きへ進む | |
本人確認書類の提示 | 運転免許証やマイナンバーカード、パスポートで本人確認をおこなう | |
契約と現金の受け取り | 品物を預け、質札と現金を受け取る | 品物を売却し、現金を受け取る |
契約後の対応 | 期限内に元金と利息を返済し、預けた品物を受け取る | 売却契約のため、現金の返済は不要 |
双方の違いは、契約内容です。質預かりは、元金と利息を返済すれば質屋に預けた品物を取り戻せますが、買取サービスは売却契約のため品物は戻りません。
品物の市場価値によって査定額は変わります。質屋や買取店を利用する際は、査定を考えている店舗のホームページや比較サイトで相場を見ておくと良いでしょう。
まとめ
ビジネスローンは、事業者の資金調達において柔軟さとスピードを兼ね備えた選択肢といえるでしょう。それぞれの金融機関によって特徴が異なるため、資金の使い道や急ぎ具合に合わせて選ぶのがおすすめです。
「ローンを組むほどの金額は必要ないけど、すぐに少額を用意したい」といった場合は「質預かり」や「買取サービス」を検討してみましょう。品物を担保にしたり売却したりして、即日現金化できます。
質屋の中島では、経験豊富なスタッフがお客様のお品物を査定し、納得いただける金額を提示できるよう日々努めております。
質預かり・買取いずれも対応いたします。LINEもしくはお問い合わせフォームよりご連絡いただければ、無料査定を承ります。
最も適した資金の調達方法を選び、事業の成長と安定につなげていきましょう。
執筆者プロフィール

-
店長 河本 明
買取業界歴15年以上。
買取の得意分野:ブランド品、ジュエリー、時計
ジュエリーコーディネーター ウォッチコーディネーターの資格を保有しております。
最新の投稿
資金調達2025年6月1日はじめての事業資金調達|通りやすい制度と失敗しない申請のポイント
資金調達2025年6月1日中小企業が借り入れで失敗しないためにチェックすべきポイントを解説
質屋2025年6月1日個人事業主の融資対策|ビジネスローンの基本と選び方
資金調達2025年6月1日【初心者向け】日本政策金融公庫とは|基本知識ガイド