法人融資の審査基準とは? 通過するためのポイントを解説
法人として融資を検討しているものの、「どこで借りればいいのか」「審査は通るのか」と不安を感じていませんか?本記事では、法人融資の種類や審査基準、借入の流れ、通過のコツを解説しています。経営を安定させたい事業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
法人融資の種類

法人が受けられる融資は公的融資と民間融資、さらに民間融資は銀行系とノンバンクのものに分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
公的融資
公的融資は、日本政策金融公庫や自治体などが提供する制度です。低金利・長期返済が可能で、創業支援や事業再構築など社会的な目的にも対応しています。
特徴 | 注意点 |
・低金利で返済負担が少ない ・最長で10年など長期の返済期間が設定できる ・信用力の低い企業でも申請しやすい | ・申請手続きがやや煩雑で時間がかかる ・書類の整備や事業計画の明確化が必須 |
信用金庫などと連携した「制度融資」も含め、公的融資は安定的な資金調達手段として根強いニーズがあります。
銀行・信用金庫
銀行や信用金庫の融資は、比較的低金利で高額の借入が可能です。審査は厳しいものの、長期的な取引関係を築ければ条件が優遇されることもあります。
特徴 | 注意点 |
・金利が低めでまとまった資金を調達しやすい ・審査では決算書・資産・事業内容などが総合的に評価される ・担保や保証人が必要なケースもある | ・担保が必要な場合、資産の評価や登記に手間がかかることがある ・保証人が必要な場合、経営者以外の第三者の協力が得られないと融資が難しくなる |
一度関係を築ければ、追加融資の申請もスムーズになるのがメリットです。
ノンバンク
ノンバンクとは、消費者金融や信販会社など、銀行以外の貸金業者です。即日融資が可能なビジネスローンは、急な資金ニーズに対応できる手段として注目されています。
特徴 | 注意点 |
・審査が比較的やさしく即日融資が可能な場合もある ・無担保・保証人不要の商品が多い金利はやや高め | ・返済負担が大きくなる可能性がある ・業者によってはトラブルのリスクがある |
ノンバンクはスピーディーな対応が強みです。また、信用情報に自信がない人にも利用しやすいでしょう。ただし、金利が高く返済総額が膨らみやすいため、返済計画をしっかり立てた上で、必要最小限の利用にとどめるのが賢明です。
法人融資の審査基準

法人融資は、以下の4つを詳しく審査されます。
- 財務状況
- 信用情報
- 事業計画
- 担保の有無
融資を検討する際は、審査基準に注意して準備を進めましょう。
財務状況
融資審査の中心となるのが財務状況です。金融機関は、売上高、利益率、自己資本比率、キャッシュフローといった指標から、企業の経営状態や返済能力を判断します。
財務状況が健全であればあるほど、審査に通りやすいです。決算書の整合性と透明性が保たれているか、損益計算書や貸借対照表が整理されているかも確認しておきましょう。
信用情報
過去の借入や返済履歴も審査対象です。延滞や債務整理の履歴があるとマイナス評価になるため、日頃からの信頼を損なわない取引を心掛けましょう。
また、法人だけでなく代表者個人の信用情報もチェックされるケースが多いため、経営者の金融履歴もクリーンに保つ必要があります。
事業計画
事業計画が具体的かつ現実的であるかも、審査で重視されます。市場環境や競合分析、売上予測、経費計画などが明記された事業計画書を準備しましょう。金融機関に「この会社なら貸しても安心」と思わせる材料を集めて、地に足の着いた計画書を作成する必要があります。
担保の有無
一定の金額以上の融資では、担保や保証人を求められるケースもあります。担保には不動産や在庫などがあり、金融機関は担保の価値を評価して融資の可否を判断します。
担保を設定することで審査の通過率が高まる反面、リスクも伴います。万が一返済が滞った場合、担保にした不動産や設備などが差し押さえられる可能性があるのです。担保の評価額が過小に見積もられると、融資額が希望額に満たないケースもありえます。
法人融資の審査を通過するためのポイント

融資の審査に通るには事前準備が不可欠です。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 信用を高める
- 財務分析する
- 必要書類を揃える
- 事業計画を明確にする
- 複数の金融機関を比較する
順番に解説します。
信用を高める
まず、企業としての信用度アップが不可欠です。日頃から健全な企業運営を心掛けましょう。
金融機関からの信用を損なう要因として、支払期限の遅延、税金や社会保険料の滞納、取引先との契約トラブルなどがあります。
信用度が下がると、審査でも不利となり、融資を断られるかもしれません。信頼構築は法人融資の土台であり、経営やステークホルダーに対する姿勢が融資の可否に直結する点を意識しましょう。
財務分析する
自社の財務状態を客観的に把握し、収益性・安全性などの観点から分析しましょう。利益率の低さや債務超過がある場合は、融資の審査で不利になる可能性があります。
財務の見直しが不十分だと、返済能力についての説明が曖昧になり、金融機関の印象が悪くなるリスクもあります。売上・利益・自己資本比率などを根拠に、返済の見通しを論理的に伝えられるよう準備しましょう。
必要書類を揃える
書類の不備や不足があると、確認や再提出のために審査が長引いてしまいます。
金融機関にもよりますが、以下の書類を求められるケースが多いです。
- 決算書
- 納税証明書
- 事業計画書
- 登記簿謄本や印鑑証明などの書類
情報の正確さと整合性が求められるため、提出前に再確認しましょう。
事業計画を明確にする
事業計画は、金融機関にとって企業の将来性を評価する重要な資料です。以下の内容を論理的かつ具体的に記述しましょう。
- 売上・利益予測と根拠
- 資金の使途と回収見込み
- 収益モデルやサービス内容
- ターゲット市場と競合分析
実現可能な数値と現実的な戦略は、融資審査で有利に働きます。融資担当者にも「しっかり事業に向き合えている」と好印象を持ってもらえます。
複数の金融機関を比較する
金融機関ごとに審査基準や金利、融資条件が異なります。1社に絞らず複数の金融機関に相談しましょう。より自社に合った条件で融資を受けられる可能性が高まります。
- 金利
- 返済期間や返済方法
- 担保や保証人の要否
- 融資までのスピード
比較する際は、トータルコストや対応の丁寧さなどもチェックしておきましょう。
法人融資申し込みから借り入れまでの流れ

融資を受ける際は、以下の流れに沿って手続きを進めます。
①情報収集
②申込・審査
③契約手続き
④融資金の受け取り
順番に見ていきましょう。
①情報収集
まずは、自社の目的や条件に合う融資制度を探すことから始めましょう。融資元の機関によって、金利や審査基準、融資スピードは異なります。
銀行融資は低金利で安心感がある反面、審査が厳しく時間がかかる傾向があります。ノンバンクは即日融資が可能なケースが多いですが、金利が高くなりがちです。
各機関の公式サイトや比較サイトなどを活用し、融資条件や必要な書類などを確認しておきましょう。
②申込・審査
利用する金融機関が決まったら、必要書類を揃えて申し込みます。金融機関は提出された書類をもとに、企業の財務状況や信用力、資金使途の妥当性を審査します。
審査されるのは、決算書の整合性や過去の返済履歴、経営者の信用情報、提出された事業計画などです。書類に不備があると追加資料の提出を求められたり、審査が長引いたりするため、入念な事前準備が必要です。
③契約手続き
審査に通過すると契約手続きが行われます。契約内容には金利、返済方法、返済期間、担保の有無、違約時の対応などが含まれます。内容に不明点がある場合は、必ず金融機関に確認しましょう。口頭での説明だけでなく、契約書の文言をきちんと読み、自社にとって不利な条件がないかもチェックが必要です。契約書は法的効力を持つため、納得したうえで署名・押印しましょう。
④融資金の受け取り
契約完了後、指定の銀行口座に融資金が振り込まれます。入金日は契約内容によって異なりますが、通常は数営業日以内です。
融資金の使途について報告が求められるケースもあるため、領収書や会計記録は適切に保管しておきましょう。資金を有効活用し、予定通り返済できるよう、資金管理にも細心の注意が必要です。
法人融資のメリット

法人が融資を受けるメリットは以下の3つです。
- 成長機会を逃さずに済む
- 融資実績が信用力アップにつながる
- 資金繰りが改善しキャッシュ不足を解消できる
1つずつ解説します。
成長機会を逃さずに済む
法人融資を受けると、事業拡大や設備投資、新規事業の立ち上げなど、将来の成長につながるタイミングを逃さずに済みます。
例えば、大口の受注があった場合、設備や人員にかける資金が必要です。融資を活用すれば、増員や材料の仕入れなども即座に対応できます。ビジネスの好機は思わぬときに訪れます。法人融資は事業拡大のチャンスをつかむ味方となるでしょう。
融資実績が信用力アップにつながる
法人融資は、企業の社会的信用度を高められるのがメリットです。
金融機関から融資を受けた実績があると、企業の信用力は向上します。銀行など審査が厳しい機関からの借入履歴は、企業の健全な経営の証として評価されやすいのです。
信用力が高まれば、さらに好条件の融資を受けられたり、取引先との契約が有利に働いたりする可能性があります。融資の実績は、誠実な経営と信用力の高さを証明してくれるでしょう。
資金繰りが改善しキャッシュ不足を解消できる
売上金が入金されるまでに時間がかかる場合、一時的に資金繰りが厳しくなる可能性があります。法人融資を利用すればキャッシュ不足を補い、仕入れや給与、運転資金を安定的に確保できるのがメリットです。
融資によって資金繰りが安定すると、新たな事業への投資や採用の強化など、将来に向けた意思決定がしやすくなります。キャッシュフローを整えつつ、さらなる事業の成長を目指せるでしょう。
法人の融資でよくある質問

最後に、法人融資に関する質問に回答していきます。
融資の限度額の目安は?
法人融資の限度額は、利用する金融機関や融資商品の種類によって大きく異なります。一般的には、銀行系であれば数百万円から1億超、ノンバンク系では数十万円から1,000万円程度が一般的です。
融資の限度額を上げたい場合は、事業の収益性を高める努力や、信用情報の改善をしていきましょう。
審査が甘いと言われる融資は安全ですか?
「審査が甘い」とされる法人融資は、一般的にノンバンク系のビジネスローンを指します。インターネットで手続き手続きが完了したり、即日融資が可能などスピード面に優れていますが、金利が高めで、返済の負担が大きい側面があります。
実質年率や手数料などを事前に確認しないと、想定外の総返済額になるかもしれません。ノンバンク系を選ぶ際は、金融庁の登録確認や口コミ、契約条件を細かく調べ、信頼できる業者を選ぶのがおすすめです。
審査に落ちたらどうすればいいですか?
法人融資の審査に落ちた場合、まずは「なぜ落ちたのか」を考えてみましょう。金融機関によっては、承認されなかった理由を教えてくれる場合もあるため、担当者に確認するのがおすすめです。
主な落選理由としては、業績の不安定さや信用情報の問題、事業計画の甘さがあります。審査に落ちた原因を洗い出し、改善策を講じましょう。決算書の見直しや支出の整理、事業計画のブラッシュアップ、過去の債務履歴の整理などが効果的です。
融資にこだわらず、ファクタリングやノンバンク系のビジネスローンなど、あらゆる選択肢を検討するのもおすすめです。余裕を持たせた返済計画を立て、信頼のおける業者選びを徹底しましょう。
「少額でいいからすぐに資金調達したい」ということであれば、質屋に手持ちの品物を預けて現金を借りたり、買い取ってもらうのも良い方法です。
まとめ
法人融資は、事業成長や資金繰りの安定に効果的です。しかし、審査のハードルが高く感じたり、手続きの煩雑さに悩む企業も少なくありません。
一時的に少しだけ資金が必要な場合であれば、公的機関や民間の金融機関による融資だけでなく、質屋・買取店の現金化サービスも選択肢に加えてみてください。手持ちの品物を即日で現金化できるため、急な支出にも対応できます。状況に応じて適切な手段を選び、経営を安定させましょう。
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執筆者プロフィール

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店長 河本 明
買取業界歴15年以上。
買取の得意分野:ブランド品、ジュエリー、時計
ジュエリーコーディネーター ウォッチコーディネーターの資格を保有しております。
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